ウル/メソポタミアの古代都市アブラハムの故郷
ウルは、前4000年代の初期、シューメール人が創設したメソポタミアにあった古代都市(都市国家)です。ウリムとも呼ばれ、チグリス川とユーフラテス川のペルシア湾への河口近くに位置していました。バビロン時代からカルデア時代にかけて繁栄し、商業・文化の中心地でした。現在のイラク領ディカール県ナーシリーヤ近郊にあります。アブラハムはウルで生まれ、ここからカナンの地へ旅立ちました。
アブラハム生誕の地
ウルは、テラの子アブラハム(アブラム)の生誕の地です。聖書には「カルデアのウル」と記されており、「カルデア」とは、メソポタミア南東部に広がる沼沢地域(湿地)の歴史的な呼称です。
テラの系図は次のとおりである。テラはアブラム、ナホル、ハランをもうけ、ハランはロトをもうけた。ハランは父のテラに先立ち、彼の生まれ故郷カルデアのウルで死んだ。
旧約聖書/創世記11章27節~28節
テラは、息子のアブラム、ハランの息子で自分の孫のロト、および息子アブラムの妻で嫁のサライを連れ、共にカルデアのウルを出発し、カナンの地に向かった。彼らはハランまで来ると、そこに住み着いた。
旧約聖書/創世記11章31節
ウルは現在のイラク南部、バグダード南東約350キロメートル位置します(現在のテル・エル・ムカイヤルと同定されています)。シュメール時代の遺跡(王墓)からは殉死者の遺骨が出土しており、また、町の守護神であった月神ナンヌの高塔神殿が発掘され、ウルの威容が明らかにされています。2016年にユネスコの世界複合遺産に登録されました。
日本聖書教会「旧約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/wikipedia/キリスト新聞社「聖書辞典」