創造原理性相と形状の二性性相
目に見える体がある
中国の周の時代(前1050頃~256)に大成され、今なお東洋哲学として研究されている易学では、森羅万象は木火土金水の五行からなり、その五行は陽陰から生成され、さらに陽陰の根源は太極であると説いています。いわゆる「陽性と陰性の二性性相」です。しかし、易学でも明らかにされていなかったより根本的な二性性相があります。「性相と形状の二性性相」です。
性相と形状の二性性相
人間は男性と女性の(陽性と陰性の)二性性相になっていますが、性別に関係なく、心と体を持っています。目に見えないものを「無形(性相)」、目に見えるものを「有形(形状)」と表現すると「人間は無形の心(性相)と有形の体(形状)からできている」ということになります。
人間だけでなく、動植物、物質などを見ても、無形の性相部分と有形の形状部分からなっていることがわかります。例えば、植物にも茎や葉の有形部分だけでなく、性質(機能)に相当する無形部分も持っています。例を挙げれば、光の方向へ向かって成長する(光屈性)や、夜は閉じ、昼にあると花開く(傾光性)などです。
このように自然界を観察すると、万物は性相(無形部分)と形状(有形部分)からなっていることがわかります。ここで、性相と形状をひとまとめにして「二性性相」とよぶことにすると、万物は「性相と形状の二性性相の相対的関係によって存在している」ということができます。
性 相 | 形 状 | |
---|---|---|
人 間 | 心 | 体 |
動 物 | 本 能 | 体 |
植 物 | 機 能 | 根・茎・葉・幹など |
分子・原子 | 性 質 | 固体・液体・気体など |
神の存在様相
このように、森羅万象が性相と形状の二性性相の相対的関係によって成り立っているのなら、それを創造した神も性相と形状の二性性相の相対的関係から成り立っているに違いありません。神の性相と形状を「本性相と本形状」とよぶことにします。
神に性相部分があるのなら、神は無機的な存在ではなく、心を持ち、目的を持つ人格的存在であることが推察されます。
性相 | 形状 | |
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神 | 本性相 | 本形状 |
性相部分に目的性が潜んでいる
人間は心の命令に従って行動します。動物は本能によって生命活動を営みます。物質は性質によってさまざまな振る舞いをします。主体は対象に対して、より中心的なもの、より原因的なもの、より本質的なものとした場合、「性相が主体」で「形状が対象」という位置づけになります。そして、性相には目的性が存在し、それに従って形状部分が動きます。
心の存在
目に見えない心の存在が否定する人もおられます。ここで心の存在について考えてみます。
目に見えない心の存在を否定する人でも、あなたには心がないと言われたら、不機嫌になるでしょう。ところが、あなたは立派な心の持ち主ですねと言われたら嬉しくなることでしょう。それは、表面上否定しながらも、目に見えない心が存在していることを、どこかで知っているからではないでしょうか。
また、人間の価値や尊厳性を論ずるときには、体が立派だから価値ある人間だとか、男性だから素晴らしいという論理にはなりません。必ず目に見えない精神について論じます。
さらに、心理学は、心(精神世界)を探求する学問です。心は目に見えませんが、確かに実体として存在するので、研究対象になるのです。
このような観点から、人間は誰もが心(精神)を持っていると考える方が自然ではないでしょうか。