イエスから天国の鍵を授かり初代教皇に。ペトロの活躍
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鶏鳴教会

鶏鳴教会

ペテロが三度否認した現場に建てられた教会。エルサレムの南東部シオンの丘にある。教会内の地下には、イエスが最後の晩を過ごした牢獄が現存する。ここから総督ピラトの官邸に連れて行かれ、裁きを受けたといわれている。

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ペンテコステ聖霊降臨

五旬祭

聖霊降臨

イエスの復活・昇天後、集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が降ったという出来事を記念するキリスト教の祝祭日。クリスマス、イースターと並ぶキリスト教の三大祭の一つ。信徒たちは、この日から聖霊に満たされて爆発的な宣教を開始した。教派により訳語は異なり、五旬節の日(「過越祭」から 50日目に行われるユダヤ教の祝日)の聖霊降臨であったため「五旬祭」などともよばれる。

〔参考・出典〕
wikipedia
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初代ローマ教皇(ローマ法王)となったペテロ

イエスが生きていた当時は、キリスト教はまだ独自の宗教といえるものではなかった。イエスの死後、ペテロたちが教えを広め、キリスト教(原始キリスト教)が成立した。

ペテロはイエスの12人の弟子の中から、イエスによって特別に選ばれ、「天の国の鍵」を授かり、初代教皇となった。ローマ教皇(ローマ法王)は、その後継者だ。「天の国の鍵」には「イエスの教えを継ぐ者」という意味があり、ローマ教皇の紋章には、常に「天の国の鍵」が描かれている。

2013年3月に南米から初のローマ教皇にフランシスコ1世が選ばれた。教皇のパレードが行われたときには、大勢の人が声援を送り、涙ぐむ人も見られた。教皇を見るということは、聖ペテロを見るのと同じことだから感銘を受けるとのこと。ペテロはキリスト教の礎を築いた人物であるとされ、キリスト教徒の心の礎にもなっているようだ。

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2つに分かれる「岩」の解釈

マタイによる福音書16章13節~19節には、キリスト教会の原点が記録されている。ただし、イエスの言われた「この岩」の解釈が、カトリック教会とプロテスタント教会で分かれている。

カトリック教会は、「この岩」を人物としての「ペテロ」と解釈している。つまり、「イエスがペテロを初代教皇に任命した」と考え、ペテロを初代のローマの司教(教皇/法王)とみなしている。そして、代々の教皇がイエスからペテロに授けられた天の国の鍵を継承している。

※天国の鍵 … 一般的には「教皇の首位権」と解釈されている。

一方、プロテスタント教会は「この岩」をペテロの「信仰告白(=ペテロがイエスをメシアとして信じているという告白)」と解釈している。つまり、「イエスをメシアと信じる信仰の土台の上に教会が成り立っている」と解釈になる。

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サン・ピエトロ大聖堂

サン・ピエトロ大聖堂

サン・ピエトロ大聖堂は使徒ペテロの墓所を祀る聖堂。キリスト教を公認(313年/ミラノ勅令)したローマ皇帝コンスタンティヌス1世により4世紀に建設された。キリスト教教会建築として、世界最大級の大きさを誇っている。現在の聖堂は2代目にあたり、1626年に完成したもの。

シモン・ペテロ十二使徒中の第一人者

Peter Paul Rubens 1610-1612 


01/10

漁師から初代教皇へ

ペテロの本名はシモンまたはシメオン(Simon/Simeon)。ガリラヤ湖畔のベトサイダの漁師出身。イエスが最初に選んだ弟子の一人で、ぺトロ(岩/教会の礎石)という名を命名された。

イエスが処刑された後、ペテロは初代教会の指導者となり、ローマ・カトリックでは初代教皇(在位:~64頃)となった。パレスチナ・小アジア・ローマで伝道し、ローマ皇帝ネロの迫害により殉教したといわれている。

ペテロの後継者は「ローマ法王(※)」と呼ばれるようになり、今もなお、ローマ・カトリック教会の最高司祭として、綿々と受け継がれている。

※日本のマスコミ等では「ローマ法王」という呼称が使われているが、日本のカトリック中央協議会は「ローマ教皇」の呼称を推奨している。

※2018年3月現在のローマ教皇は、第267代のフランチェスコ1世(Francesco I)。


02/10

洗礼ヨハネの弟子からイエスの弟子へ

ペテロと兄弟アンデレは洗礼ヨハネ(バプテスマのヨハネ)の弟子であった。ある日、洗礼ヨハネが、歩いておられるイエスを見つめて、「見よ、神の小羊だ」と言って、イエスを神の子(メシヤ)であることを認めると、アンデレはイエスに従うようになった。その日は、イエスとともに過ごした。翌日、アンデレがペテロにそのことを話し、ペテロをイエスのもとに連れて行った。すると、イエスから「ペテロ」という名をもらい、弟子となった。その後、彼らは漁師生活に戻ったが、ガリラヤ湖畔でイエスに会い、大漁の奇跡を目の当たりにした。

※イエスに先に出会ったのはアンデレであったが、12弟子の中では、兄のペテロが「一番弟子」の立場となった。

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(=アンデレ)は、まず自分の兄弟シモンに会って、「わたしたちはメシアに出会った」と言った。そして、シモンをイエスのところに連れて行った。イエスは彼を見つめて、「あなたはヨハネの子シモンであるが、ケファ(=岩/ペテロ)と呼ぶことにする」と言われた。

新約聖書/ヨハネによる福音書1章41節~42節

03/10

大漁の奇跡

大漁の奇跡

The Miraculous Draught of Fishes, Peter Paul Rubens, 1618 - 1619

ある日、シモン(ペテロ)とアンデレの兄弟は、ガリラヤ湖へ漁に出掛けた。しかし、その日は、一晩中働いても収穫はなかった。イエスもガリラヤ湖に来ており、うわさを聞いた多くの人が、神の言葉を聞こうと、イエスのまわりにひしめき集まっていた。

ペテロとアンデレを見掛けたイエスは、彼らの舟に乗り込み、彼らに網を下ろすように命じた。ペテロはしぶしぶ従うと、奇跡的な大漁となった。

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イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。
イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。
そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。

新約聖書/ルカによる福音書5章1~7節

04/10

人間をとる漁師に - イエスに弟子入り

またある日、シモン(ペテロ)とアンデレの兄弟が漁をしているとき、イエスは湖岸を歩いておられた。イエスは彼らに向かって「私についてきなさい。あなたがたを人間をとる漁師にしてあげよう」と言われた。彼らはすべてを捨てて、イエスの後について行った。その後は、弟子となり、行動を共にするようになった。

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イエスは、ガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、シモンとシモンの兄弟アンデレが湖で網を打っているのを御覧になった。彼らは漁師だった。イエスは、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われた。二人はすぐに網を捨てて従った。

新約聖書/マルコによる福音書1章16節~18節

05/10

水の上を歩く奇跡

イエスの弟子たちが、荒波の中で舟を進めていると、湖上をイエスが歩いていた。それを見たペテロは、自分にも命令して、湖上を歩き、イエスの元へ行かせてほしいと頼んだ。そして、イエスが来るように命じたので、水の上を歩きはじめた。ペテロは数歩だけ水の上を歩けたが強風にあおられて、恐怖心を持った瞬間に溺れかかった。その後、イエスに助けられ、信仰が薄いと叱られた。

このマタイによる福音書の記録は、ペテロがイエスに叱られるというオチがあり、ユーモアを感じさせるようなストーリーになっている。ペテロは、荒波で溺れそうになり「助けてください!」と叫んでいる。ペテロの大胆さと臆病さを読み取ることができ、人間らしさを感じる一場面となっている。なお、この物語はさまざまな解釈がなされ、「信仰心」や「救い」、「イエスの復活」などをテーマとする説教の中で、引用されることが多い。

※イエスが湖上を歩く奇跡は、マタイ福音書だけに記録されている。

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群衆を解散させてから、(イエスは)祈るためにひとり山にお登りになった。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。
ところが、(弟子たちが乗っている)舟は既に陸から何スタディオンか離れており、逆風のために波に悩まされていた。
夜が明けるころ、イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところに行かれた。弟子たちは、イエスが湖上を歩いておられるのを見て、「幽霊だ」と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声をあげた。イエスはすぐ彼らに話しかけられた。「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」すると、ペテロが答えた。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。」イエスが「来なさい」と言われたので、ペテロは舟から降りて水の上を歩き、イエスの方へ進んだ。しかし、強い風に気がついて怖くなり、沈みかけたので、「主よ、助けてください」と叫んだ。イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われた。そして、二人が舟に乗り込むと、風は静まった。
舟の中にいた人たちは、「本当に、あなたは神の子です」と言ってイエスを拝んだ。

新約聖書/マタイによる福音書14章23節~33節

06/10

イエスがペテロを賞賛 - 天の国の鍵を授かる

ペテロが天の国の鍵を授かる

聖ペトロへの天国の鍵の授与 ペルジーノ1480-82年頃
システィーナ礼拝堂

ペテロがイエスに弟子入りしてから時が経ち、ペテロをはじめ、弟子たちの信仰も厚くなり始めていた。イエスは弟子たちを試そうと、「私を誰と言うか」と質問した。ペテロは「あなたこそ、生ける神の子キリストです」と告白した。イエスは「この岩の上にわたしの教会を建てよう」、「あなたに天の国の鍵を授ける」と言って、ペテロを賞賛した。これがキリスト教の教会の原点で、ここからキリスト教の教会が出発したといわれている。また、カトリック教会は、これをもってペテロがイエスから初代教皇に任命されたものと理解している。

New Testament

イエスは、フィリポ・カイサリア地方に行ったとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」
イエスが言われた。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」シモン・ペテロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。わたしも言っておく。あなたはペテロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」

新約聖書/マタイによる福音書16章13節~19節
Divine Principle ▼
Divine Principle

霊人体のすべての感性も肉身生活の中で、肉身との相対的な関係によって育成されるので、人間は地上で完成され、神の愛を完全に体恤して初めて、肉身を脱いだのちのその霊人体も神の愛を完全に体恤することができるようになるのである。このように、霊人体のすべての素性は肉身のある間に形成されるので、堕落人間においては、霊人体の悪化は肉身生活の犯罪行為に由来するもので、同じく、その霊人体の善化も、肉身生活の贖罪によってのみなされる。罪悪人間を救うために、イエスが肉身をもって地上に降臨された理由はここにあるのである。それゆえに、我々は地上で善なる生活をしなければならない。したがって、救いの摂理の第一次的な目的が地上で実現されなければならないので、イエスは天国の門の鍵を地上のペトロに授けて(マタイ一六・19)、地上でつなぐことは天でもみなつながれ、地上で解くことは、天でもみな解かれるであろうと言われたのである(マタイ一八・18)。

©世界平和統一家庭連合「原理講論」

07/10

ペテロの否認

最後の晩餐で、ペテロは、自分は決してイエスを見捨てないので、あてにしてほしいとイエスに伝えた。しかし、イエスに「あなたは今夜、鶏が鳴く前に三度わたしのことを知らないというだろう」と言われた。

イエスが逮捕され、大祭司カイアファの邸宅の牢に連れ込まれ、拷問を受けているとき、ペテロはなんとかイエスを助けようと中庭にまぎれ込んだ。

中庭でペテロは、3人の人物からイエスの弟子ではないかと問われるが、三度とも弟子であることを否認。三度目の否認をしたとき、鶏が鳴いた。ペテロは、イエスの言葉を思い出すと、中庭から外に走り出て、激しく泣いた。

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するとペテロが、「たとえ、みんながあなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」と言った。イエスは言われた。「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」ペテロは、「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません」と言った。弟子たちも皆、同じように言った。

新約聖書/マタイによる福音書26章33節~35節
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ペテロは外にいて中庭に座っていた。そこへ一人の女中が近寄って来て、「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」と言った。ペテロは皆の前でそれを打ち消して、「何のことを言っているのか、わたしには分からない」と言った。ペテロが門の方に行くと、ほかの女中が彼に目を留め、居合わせた人々に、「この人はナザレのイエスと一緒にいました」と言った。そこで、ペテロは再び、「そんな人は知らない」と誓って打ち消した。しばらくして、そこにいた人々が近寄って来てペテロに言った。「確かに、お前もあの連中の仲間だ。言葉遣いでそれが分かる。」そのとき、ペテロは呪いの言葉さえ口にしながら、「そんな人は知らない」と誓い始めた。

するとすぐ、鶏が鳴いた。ペテロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われたイエスの言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。

新約聖書/マタイによる福音書26章69節~75節

08/10

天使に救出されるペテロ

牢獄から救出される聖ペテロ
セバスティアーノ・リッチ 1722年
サン・スエタ聖堂

ペテロは初代教会の指導者となり、五旬祭(ペンテコステ)で聖霊が降ったとき、キリスト教最初の説教をエルサレムで行なった。その後も説教を続けたため、ヘロデ王(ヘロデ・アグリッパ一世)にたびたび逮捕された。あるときは、天使に牢獄から救い出されたこともあり、このときは、ペテロ本人も、ペテロのために祈っていた教会の信徒たちもたいへん驚いた。

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そのころ、ヘロデ王は教会のある人々に迫害の手を伸ばし、ヨハネの兄弟ヤコブを剣で殺した。そして、それがユダヤ人に喜ばれるのを見て、更にペテロをも捕らえようとした。それは、除酵祭の時期であった。
ヘロデはペテロを捕らえて牢に入れ、四人一組の兵士四組に引き渡して監視させた。過越祭の後で民衆の前に引き出すつもりであった。こうして、ペテロは牢に入れられていた。教会では彼のために熱心な祈りが神にささげられていた。
ヘロデがペテロを引き出そうとしていた日の前夜、ペテロは二本の鎖でつながれ、二人の兵士の間で眠っていた。番兵たちは戸口で牢を見張っていた。すると、主の天使がそばに立ち、光が牢の中を照らした。天使はペテロのわき腹をつついて起こし、「急いで起き上がりなさい」と言った。すると、鎖が彼の手から外れ落ちた。天使が、「帯を締め、履物を履きなさい」と言ったので、ペテロはそのとおりにした。また天使は、「上着を着て、ついて来なさい」と言った。
それで、ペテロは外に出てついて行ったが、天使のしていることが現実のこととは思われなかった。幻を見ているのだと思った。第一、第二の衛兵所を過ぎ、町に通じる鉄の門の所まで来ると、門がひとりでに開いたので、そこを出て、ある通りを進んで行くと、急に天使は離れ去った。
ペテロは我に返って言った。「今、初めて本当のことが分かった。主が天使を遣わして、ヘロデの手から、またユダヤ民衆のあらゆるもくろみから、わたしを救い出してくださったのだ。」

新約聖書/使徒言行録12章1節~11節

09/10

ペテロの投獄

イエスが処刑され、3日目に復活した後、ペテロはイエスがメシヤであったことを心から信じるようになった。エルサレムで信仰と伝道に全身全霊を捧げ、信者たちの指導者となって、エルサレムの教会をまとめた後、ローマで布教活動を行った。

ペテロがローマに渡ったとき、皇帝クラウディウス(在位:41年~54年)~皇帝ネロ(在位:54年~68年)の時代であった。皇帝ネロは、側近に魔術師シモンを置き、寵愛していた。シモンは、しばしば、ペテロの宣教に異議を唱え、伝道活動を妨げていた。ある日、ペテロは奇跡でシモンを倒してしまい、皇帝ネロの怒りを買い、パウロと共に投獄された。

牢獄では二人の騎士(※)に見張られていた。しかし、二人ともペテロの話を聞いて、感銘を受け、キリスト教に入信。ついには、二人の騎士は牢獄の扉をあけて、ペテロとヨハネを解放した。

※二人の騎士=プロケッススとマルティニアヌス。のちに、高官パウリヌスは二人を呼びつけて、キリスト信者であることを聞くと首をはねた。二人は殉教者として、旧アウレリア街道の埋葬され、その場所に教会が建てられている。


10/10

ペテロの殉教

牢獄から解放されたペテロは、信徒たちに、一刻も早くローマから逃れるよう懇願された。ペテロ本人は不本意であったが、信徒たちに強く懇願され、ローマから離れることを決意した。

ペテロがローマを出発して、しばらくすると、ローマに向かってイエスが歩んできた。ペテロはどちらに行かれるのか尋ねたところ、イエスは「もう一度十字架に上がるのです」と答えた。その言葉を聞いたペテロは悔い改め「それでは、わたしも、帰ってあなたとごいっしょに十字架にかけられます」と言った。するとイエスは、彼の見ている前で天に昇って行った。

ペテロは、殉教を告げられたのだと悟り、声をあげて泣き、ローマに引き返し、ネロの兵士たちに逮捕された。処刑のときには、イエスと同じ十字架刑では畏れ多いとして、逆さ十字架にかかって殉教した(64年頃)。

Golden Legend

ペテロは、十字架のところに着くと、こう言った。「キリストは、天から地にご降臨になったので、頭を上にした十字架におあがりになった。しかし、わたしは、地上から天へ行くにあたいするとされたわけだから、わたしの頭は地にむき、足は天にむくようにしてもらいたい。つまり、わたしは、主とおなじ恰好で十字架にかけられる値うちがないのだから、どうか十字架をさかさまに立て、頭が下になるようにしてほしいのです」それで、十字架をさかさにし、足を上に、手を下にむけて釘けられた。

Jacobus de Voragine, Golden Legend

現在、ペテロの墓の上には、サン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロ大聖堂)が建てられている。

ペテロの処刑

サン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロ大聖堂)

2013年11月24日 聖ペテロの遺骨が入った箱が初公開された。<br />バチカン市国 サンピエトロ広場 St Peter's Square

2013年11月24日 聖ペテロの遺骨が入った箱が初公開された
バチカン市国 サンピエトロ広場 St Peter's Square


〔参考・引用〕
日本聖書教会「旧約聖書」/日本聖書教会「新約聖書」/創元社「聖書人物記」/日本文芸社「人物でよくわかる聖書(森実与子著)」/株式会社カンゼン「聖書の人々」/wikipedia/webio「世界宗教用語大事典」/en.wikipedia/河出書房新社「図説 イエス・キリスト 聖地の風を聞く」/光言社「日本と世界のやさしいキリスト教史(梅本憲二)」/ヤコブス・デ・ウォラギネ「黄金伝説」/テレビ東京「137億年の物語 - キリスト教 ヨーロッパに広がる」