聖書と歴史の学習館

イスカリオテのユダイエスを裏切り良心に苛まれる

01/04

イスカリオテのユダ

ユダは、イエスを死に至らしめた「裏切り者」とされています。英語ではユダという名前は裏切り者の同義語になっているほど、罵倒され、忌み嫌われてきました。ユダは殺害をたくらむ反イエス派に銀貨三十枚で、イエスを引き渡してしまったからです。

New Testament

すると、イエスは言われた。「あなたがた十二人は、わたしが選んだのではないか。ところが、その中の一人は悪魔だ。」イスカリオテのシモンの子ユダのことを言われたのである。このユダは、十二人の一人でありながら、イエスを裏切ろうとしていた。

ヨハネによる福音書 6章70節~71節
©日本聖書教会「新約聖書」

02/04

意外だったユダの裏切り

ユダの裏切りは、実は他の弟子にとっては思いもしなかった出来事でした。ユダはイエスー行の金入れを預かるほど信頼されていたからです。最後の晩餐でイエスが「あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」と言われたときには皆が衝撃を受けますが、ユダが裏切ることになるとは誰も思わなかったといわれています。他の弟子たちがユダの横領に気づいたのは、本人が自殺した後のことでした。

New Testament

そのとき、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところへ行き、「あの男をあなたたちに引き渡せば、幾らくれますか」と言った。そこで、彼らは銀貨三十枚を支払うことにした。そのときから、ユダはイエスを引き渡そうと、良い機会をねらっていた。
除酵祭の第一日に、弟子たちがイエスのところに来て、「どこに、過越の食事をなさる用意をいたしましょうか」と言った。イエスは言われた。「都のあの人のところに行ってこう言いなさい。『先生が、「わたしの時が近づいた。お宅で弟子たちと一緒に過越の食事をする」と言っています。』」弟子たちは、イエスに命じられたとおりにして、過越の食事を準備した。
夕方になると、イエスは十二人と一緒に食事の席に着かれた。一同が食事をしているとき、イエスは言われた。 「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」弟子たちは非常に心を痛めて、「主よ、まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。
イエスはお答えになった。「わたしと一緒に手で鉢に食べ物を浸した者が、わたしを裏切る。人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった。」
イエスを裏切ろうとしていたユダが口をはさんで、「先生、まさかわたしのことでは」と言うと、イエスは言われた。「それはあなたの言ったことだ。」

マタイによる福音書26章14節~25節
日本聖書教会「新約聖書」

03/04

イエスと逮捕

Kiss of Judas/ユダの接吻 Giotto 1304-1306年製作


New Testament

イエスがまだ話しておられると、十二人の一人であるユダがやって来た。祭司長たちや民の長老たちの遣わした大勢の群衆も、剣や棒を持って一緒に来た。イエスを裏切ろうとしていたユダは、「わたしが接吻するのが、その人だ。それを捕まえろ」と、前もって合図を決めていた。ユダはすぐイエスに近寄り、「先生、こんばんは」と言って接吻した。

マタイによる福音書26章47節~49節
日本聖書教会「新約聖書」

04/04

ユダの自殺

イエスが逮捕され、有罪の判決が下ったことを知ったユダは、自責の念でいっぱいになります。そして、宗教指導者(祭司長やユダヤ人指導者)へ銀貨三十枚を返し(神殿に投げ込み)、自らも首を吊って命を絶ちました。

銀貨三十枚を投げ捨てるユダ


The Death of Judas/ユダの自殺 Pietro Lorenzetti 1320-1330年製作


New Testament

そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」と言った。しかし彼らは、「我々の知ったことではない。お前の問題だ」と言った。そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。

新約聖書/マタイによる福音書27章3節~5節
日本聖書教会「新約聖書」

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祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。このため、この畑は今日まで「血の畑」と言われている。

マタイによる福音書27章6節~8節
日本聖書教会「新約聖書」