縦からなる横的な蕩減復帰(歴史延長の摂理)
壊れたものを修復するためには期間が必要
壊れたものを修復するためには、修復期間が必要です。例えば、陶器でできた大切な壺が壊れてしまった場合は、概ね次のような手順で、それぞれの段階に応じた修復期間(時間)が必要になります。
- 接着期間:まずは、破片を集めて丁寧に接着します。
- 乾燥期間:接着の後、乾かします。
- 成形期間:接着した継ぎ目の痕跡が目立たないように色を塗ったり、成形したりします。
- 乾燥期間:成形の後、再び乾かして、仕上がりです。
※ちなみに壊れた陶器を修復するためには、一般的な鑑賞用の壺や器、置き物などで数ヶ月の期間が必要なようです。
聖書に現れている歴史の修復期間
聖書では、「メシヤ(救世主)を迎え、人類の真の王として即位し、神の国を建国する」という歴史観が貫かれています。つまり、聖書の世界では、人類がメシヤを迎えることを目的として歴史が流れているのです。
また、聖書の中には、摂理上の重要人物についての行いなどが記録されています。そして、摂理上の中心人物が不信を犯すなどして、使命を果たせなくなるという、摂理上の失敗も記録されています。
さらに、聖書を紐解くと、失敗の後には、壊れた壺を修復するかのように、段階的な期間が現れています。まるで歴史の失敗を修復しているのように、段階的な期間が記録されているのです。
そして、修復期間として、旧約聖書のイスラエル民族(=ユダヤ民族)の歴史やその後のキリスト教の歴史の中に、12、4、21、40などの数を基本とした概ねの年数が現れています。
サウル王の場合
例えば、イスラエルの最初の王国は、アブラハムから始まり、エジプトの苦役を経て、士師時代の基台の上に、建国されました。イスラエルの王国は、人類救済の摂理上、とても重要な国でした。初代の王はサウル。サウル王の第一の使命は神殿を築くことでした。そして、次のような流れで、摂理が進む予定でした。
- サウル王は築いた神殿を信奉する
- サウル王はイスラエル民族との信頼関係を築き、イスラエル民族を絶対服従させる
- 1~2の基台の上に、神殿の実体として、メシヤを神殿に迎える
- サウル王はメシヤを信奉する(メシヤはサウル王の王となる)
- サウル王に絶対服従しているイスラエル民族は、サウル王を介して、メシヤに出会い、絶対服従する
- メシヤを中心とした神の王国が誕生し、周辺を諸国を吸収する。
しかし、サウル王は神に対し、不信を犯してしまいます。使命を果たせず、サウル王を中心とした摂理は失敗してしまったのです。サウル王の使命は、ダビデ王、ソロモン王と引き継がれますが、いずれも失敗し、統一王国時代から神の国へと発展することはありませんでした。その失敗を復帰すべく、歴史の修復期間が展開されます。神は王国を2つに分断し、聖別して摂理を継続することになったのです。
期間 | 時代 | 内容 |
---|---|---|
12(120年) | 統一王国時代 | 士師時代の400年を基台として、サウルが初代の王となり、イスラエル史上、初めての王国が存続した時代 |
4(400年) | 南北王朝分立時代 | イスラエル王国が北イスラエルと南ユダの王国に南北に分立した時代 |
21(210年) | 民族の捕囚・期間時代 | イスラエル民族がバビロニア王の捕虜とされた後、帰還した時代 |
40(400年) | メシヤ降臨準備時代 | メシヤの降臨に備え、環境を整える期間。ギリシャやローマで文明が急速に発達した時代 |
このような「歴史の修復期間」を、原理講論では「縦からなる横的な蕩減期間」と呼んでいます。
※上記の年代は「Ussher chronology」より引用
チャールズ大帝の場合
サウル王を初代王とした統一王国時代は、3代目のソロモン王の後、終焉を迎えます。その後、時は満ちて、メシヤであるイエスを迎えることができました。しかし、ユダヤ人がイエスを十字架で殺害することにより、摂理は失敗します。その後、西暦800年頃、サウル王と時と同じようにメシヤを迎えるチャンスが到来します。そのときの中心人物は、フランク王国のチャールズ大帝でした。
サウル王のときは、イスラエルという民族的なレベルで、士師時代の封建社会からから君主社会へ向けて摂理が進められていました。そして、チャールズ大帝のときには、より広範に、教区長(法王や大主教など)を領主としたキリスト教封建社会から、君主国家へ向けた摂理が展開され、キリスト教王国が築かれます。
封建社会では、その社会の性格上、一般民衆は領主と思想や指導に絶対服従します。チャールズ大帝の使命は、封建制度の上にキリスト教王国を建国し、さらに封建社会から発展した君主社会を築くことでした。これは、メシヤを迎えたときに、君主であるチャールズ大帝がメシヤを王として迎え、絶対服従することにより、一般民衆もチャールズ大帝を介して、メシヤを信じ、絶対服従することにより、神の王国を建設して、人類救済の摂理を進めるためです。
しかし、チャールズ大帝は、円熟した封建制度の上にキリスト教王国を建設したものの、その障壁を崩すことができませんでした。結果として、彼は一人の大領主の立場に立っていたにすぎず、摂理を進めることはできませんでした。むしろ、封建制度は次第に強化され、政治面における封建階級社会は、全盛を極めることになってしまいます。そして、チャールズ大帝によって始まったキリスト王国も、3代目には、孫たち三人の間に紛争が起こり、王国は東、西両フランクとイタリアに三分されてしまいます。チャールズ大帝を中心とした摂理は失敗。再び「復帰の摂理」が始まり、歴史の修復期間が展開されます。
期間 | 時代 | 内容 |
---|---|---|
12(120年) | キリスト教王国時代 | 西暦800年にはチャールズ大帝が法王から戴冠されて、後に彼の王統が絶えて、選挙王制となり、西暦909年ヘンリー一世がドイツ王位につくまでの期間 |
4(400年) | 東西王朝分立時代 | キリスト王国時代が過ぎたのち、西暦1309年に、法王庁が南仏アヴィニョンへ移されるまでの期間 |
21(210年) | 法王の捕囚・期間時代 | 法王クレメンス五世が、西暦1309年に、ローマから南仏アヴィニョンへ法王庁を移したのち、法王が捕虜のような生活をするようになり、その後、再びローマへ帰ったのち、1517年宗教改革が起こるまでの期間 |
40(400年) | メシヤ降臨準備時代 | 南仏アヴィニョンに幽閉された法王がローマに帰還したのち、西暦1517年、ルターを中心とする宗教改革が起こったときからの約400年間。メシヤの降臨に備え、環境を整える期間、現代に通じる文明が発達 |
アブラハムの時代
アブラハムの時代を見ても、家庭的な規模(氏族的な規模)で同じような、修復が起こっています。アブラハムは、神から示された捧げものを指示どおりに捧げることができず、失敗しました。
期間 | 時代 |
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12(120年) | アブラハムがハランを出発してから、ヤコブがエソウより長子の権利を奪うまでの期間 |
4(40年) | エソウとヤコブの対立期間。ヤコブがエソウよりレンズ豆とあつもので長子の権利を奪った後、ヤコブがハランに入るまでの期間 |
21(21年) | ハランでの苦役期間。ヤコブがイサクより長子の祝福を受けた後、エソウを避けてハランに行きレアをめとる為の7年間、ラケルをめとる為の7年間、財物を奪ってカナンに帰る年までの7年間の合計21年間 |
40(40年) | ヤコブがカナンに帰還し、エソウと和解して後、エジプトに入るまでの期間 |
数を基本とした摂理は、ノアがルーツ
上記のように、人類救済の摂理には、12、4、21、40などの数を基本とした期間が現れていますが、聖書の歴史を遡っていくと、ノアを中心とした摂理のときが最初のようです。
期間 | 時代 |
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12(120年) | 箱舟を建設120年間 |
4(40日) | 洪水審判40日間 |
40(40日) | 箱舟がアララテの山にとどまったのち、鳩を放つまでの40日間 |
21(21日) | ノアが7日毎に3回にわたり鳩を放った合計21日間 |
〔参考・引用〕
世界基督教統一神霊協会「原理講論」/日本聖書教会「旧約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」