天使との格闘 ヤコブからイスラエルへ
1876 Léon Joseph Florentin Bonnat/レオン・ボナ
天使と格闘して勝利
ラバンと和解して別れたヤコブは、カナンへ向かいました。 途中「ヤボクの渡し」という大きな川を渡ることになります。ヤコブは、家族たちを先に川を渡らせた後、ー人川の手前に残って野営をすることになりました。
すると、その晩、眠っていたヤコブに、何者かが物凄い力でヤコブに襲いかかってきました。ヤコブは、すぐさま反撃に転じ、闇の中で激しく争い、格闘となりました。
何者かは、勝てないとみると、ヤコブの腿(もも)の関節を激しく打ったため、腿のつがいがはずれてしまいました。
それでもヤコブは「祝福してくださるまでは離しません」と力をゆるめません。
すると相手は「これから、お前は、イスラエルと名乗るがよい。神と人と闘って勝ったからだ」と言い、ヤコブを祝福し、どこかに去って行きました。
イスラエルとは「神が支配する人/神が守る人/神の戦士」という意味を持つ名です。ちなみに「ヤコブ」という名には「かかと/押しのける」という意味があります。
こうしてヤコブに、はじめて民族の名「イスラエル」が与えられ、12部族の始祖となりました。ヤコブは格闘して勝利した場所を、ペヌエル(神の顔)と名付けました。
その夜、ヤコブは起きて、二人の妻と二人の側女、それに十一人の子供を連れてヤボクの渡しを渡った。皆を導いて川を渡らせ、持ち物も渡してしまうと、ヤコブは独り後に残った。
そのとき、何者かが夜明けまでヤコブと格闘した。ところが、その人はヤコブに勝てないとみて、ヤコブの腿の関節を打ったので、格闘をしているうちに腿の関節がはずれた。
「もう去らせてくれ。夜が明けてしまうから」とその人は言ったが、ヤコブは答えた。「いいえ、祝福してくださるまでは離しません。」「お前の名は何というのか」とその人が尋ね、「ヤコブです」と答えると、その人は言った。「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と闘って勝ったからだ。」
「どうか、あなたのお名前を教えてください」とヤコブが尋ねると、「どうして、わたしの名を尋ねるのか」と言って、ヤコブをその場で祝福した。
ヤコブは、「わたしは顔と顔とを合わせて神を見たのに、なお生きている」と言って、その場所をペヌエル(神の顔)と名付けた。
ヤコブが天使と格闘し、勝利したとされている場所(ペヌエル)
Jabbok River/ヤボク川
ヨルダン川の支流、現在はザルカ川と呼ばれる
日本聖書教会「旧約聖書」/創元社「聖書人物記」/日本文芸社「人物でよくわかる聖書(森実与子著)」/株式会社カンゼン「聖書の人々」/wikipedia/webio「世界宗教用語大事典」/WIKIMEDIA COMMONS