ヤコブの結婚 13人の子供たち
Hamilton William/Bartolozzi Francesco
ラバンとの出会い
ヤコブは、兄エサウから長子権と祝福を奪い取ったため、エサウの怒り買い、今にも殺されそうな険悪な状況になりました。これを知った母リベカは、ヤコブに、ハランに住むリベカの兄、叔父のラバンのもとへ逃げるように忠告します。そして、ヤコブはハランに向かって一人旅立ちます。ハランで無事にラバンと出会ったヤコブは、ラバンの親戚(ラバンの甥)であることを告げ、カナンでの出来事などを報告すると、喜んで受け入れてもらえました。
ラバンと掛け合うヤコブ/Charles Foster
Illustrators of the 1897 Bible Pictures
その後、ヤコブは、ラバンのもとで懸命に働くようになりました。1ヶ月ほど過ぎたある日のこと、ラバンはヤコブに言います。「いくら甥だからって、無償で働くことはない。給料はどのくらいほしいかね。」
するとヤコブは「もしラケルを妻にいただけるなら、7年間無償で働きます。」
ラバンはこれを承知します。いわゆる「婚資」です。
※婚資とは、花婿または花婿の親族が、花嫁の親族に対して贈る財産のことで、古代オリエント社会における、嫁とりのための労働は、嫁に対する代償であり、今で言う「婚資」とよばれる贈与行為に相当します。
ヤコブの結婚
そして、7年の歳月が経ち、婚礼が行われました。その夜、ラバンに連れられてきた妻をヤコブは喜んで迎えます。しかし、夜があけそめる頃、ヤコブは大変なことに気が付きます。ヤコブのかたわらにいるのはラケルではなく、姉のレアだったのです。
ヤコブはラバンに言います。「なぜ、私を騙したのですか。私が7年も働いたのは、ラケルのためではありませんか。」
ラバンは、答えます。「この地方では、姉よりも先に妹が嫁ぐようなことはしない。ラケルと結婚したいなら、とにかく一週間の婚礼をすませなさい。そうすれば、妹の方もお前に嫁がせよう。ただし、あと7年間働いてくれ。」ヤコブは渋々承知します。
ヤコブの子供たち
その7年後、ヤコブは正式にラケルを妻として迎えることができました。しかし、厄介な問題が起きました。レアは次々と子どもを生みましたが、ラケルは、さっぱり子宝に恵まれないのです。
ラケルは悩んだ末、女奴隷のビルハをヤコブの側妻として、子ども生ませました。ビルハが生んだ子どもは2人。レアも4人子どもを生むと、その後は子どもが生まれなくなったので、同じように女奴隷のジルパをヤコブの側妻として、代わりに子どもを生ませました。ジルパは2人の子どもを生みます。
しかし、その後、またレアが子どもを3人生みます。結局、合計11人。10人の男の子と1人の女の子が生まれました。そして、最後には、ついにラケルにも男の子が2人生まれ、13人の子どもを持つ大家族となりました。
後に、ヤコブは神の祝福を受けて、「イスラエル」と改名しました。ヤコブの息子たちが、イスラエル12部族の祖となります。そして、神がアブラハム、イサク、ヤコブに約束したとおり、子孫は海辺の砂の数のように、あるいは、星の数のように増えます。
日本聖書教会「新約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/WIKIMEDIA COMMONS