長子皆殺しの災い十の災い・十災禍

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長子皆殺しの災い

第10の災い「長子皆殺しの災い」

エジプトの王ファラオは、これまで9つの災を受けても、イスラエル民族を苦役から解放しようとしませんでした。そこで、神はモーセとアロンに「最後の災い」を告げます。それは「エジプトの長子を皆殺しにする災い」でした。

The Death of the First Born/長子の皆殺し<br />Erastus Salisbury Field(1865–80)<br />所蔵:The Metropolitan Museum of Art(New York)

The Death of the First Born/長子の皆殺し
Erastus Salisbury Field(1865–80)
所蔵:The Metropolitan Museum of Art(New York)

災いは真夜中に起こりました。寝静まっているはずの町に、突然、悲鳴が響きわたります。エジプト人のあらゆる家から泣き叫ぶ声が聞こえてきました。家々には明かりが灯され、人々が飛び出してきます。まるで夜襲にでもあったかのような騒ぎとなります。「うちの長男が死んだ」「うちの長女が死んだ」という言葉が飛び交います。王宮から奴隷に至るまで、すべての家庭の長子が死んでしまったのです。さらには、家畜の初子までも死んでしまいました。

しかし、イスラエル人たちは、この災いをまぬがれることができました。イスラエル人の家の鴨居には小羊の鮮血が塗られていたからです。羊の血を鴨居に塗ってある家は、災いが起きないということを、神により事前に告げられていたので、イスラエル人は皆、そのようにしたのです。

The Death of the First Born/長子の皆殺し<br />Lawrence Alma-Tadema(1878)

The Death of the First Born/長子の皆殺し
Lawrence Alma-Tadema(1878)

ファラオの王室をも襲ったこの事件で、ファラオはすっかり打ちのめされてしまったようです。ファラオは、その夜のうちに、モーセとアロンを呼びつけます。そして、一刻も早く、エジプトから出て行くように命じました。ついに、ファラオは屈服し、イスラエル人の奴隷解放を認めたのです。

喜びいさんだイスラエル人たちは、荷造りもそこそこに、エジプト人たちから金銀の装飾品や衣類をせしめ、エジプトを後にしました。

真夜中になって、主はエジプトの国ですべての初子を撃たれた。王座に座しているファラオの初子から牢屋につながれている捕虜の初子まで、また家畜の初子もことごとく撃たれたので、ファラオと家臣、またすべてのエジプト人は夜中に起き上がった。死人が出なかった家は一軒もなかったので、大いなる叫びがエジプト中に起こった。
ファラオは、モーセとアロンを夜のうちに呼び出して言った。「さあ、わたしの民の中から出て行くがよい、あなたたちもイスラエルの人々も。あなたたちが願っていたように、行って、主に仕えるがよい。羊の群れも牛の群れも、あなたたちが願っていたように、連れて行くがよい。そして、わたしをも祝福してもらいたい。」
エジプト人は、民をせきたてて、急いで国から去らせようとした。そうしないと自分たちは皆、死んでしまうと思ったのである。

旧約聖書/出エジプト記12章29節~33節
©日本聖書協会/旧約聖書 新共同訳

イスラエルの人々は、モーセの言葉どおりに行い、エジプト人から金銀の装飾品や衣類を求めた。主は、この民にエジプト人の好意を得させるようにされたので、エジプト人は彼らの求めに応じた。彼らはこうして、エジプト人の物を分捕り物とした。イスラエルの人々はラメセスからスコトに向けて出発した。一行は、妻子を別にして、壮年男子だけでおよそ六十万人であった。

旧約聖書/出エジプト記12章35節~37節
©日本聖書協会/旧約聖書 新共同訳

※長子皆殺しの災いで、イスラエルの神はエジプト王ファラオを打ちます。ファラオはエジプトの神々の中で最も偉大な神として、エジプトの人々に崇拝されていました。そのファラオを打つことにより、イスラエルの神は、エジプトの神に対して、優位性を示されたといわれています。



〔参考・引用〕
日本聖書教会「旧約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/株式会社なあぷる「週間聖書・総集編」