聖書と歴史の学習館

第一の災いナイル川の水が
血に変わる

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第一の災い

神がモーセを通じて、エジプトの王(ファラオ)を屈服されるためにもたらした第一の災いは、「水が血に変わる災い」でした。

アロン(モーセの兄)が手にした杖でナイル川の水面を打つと水は、赤褐色の血に変わりました。川の魚は死に、悪臭を放つようになりました。

これに負けじと、王室の魔術師も水を血に変えてしまったため、災いは増長。エジプト人は水が飲めなくなりました。エジプトの人々は、地下水を求めて、ナイル川の周辺を掘りました。

しかしながら、ファラオは屈服するどころか、むしろ頑な(かたくな)になり、モーセたちのイスラエル民族解放の要求を受け入れることはありませんでした。

Old Testament

主は更にモーセに言われた。「アロンに言いなさい。『杖を取り、エジプトの水という水の上、河川、水路、池、水たまりの上に手を伸ばし、血に変えなさい』と。エジプトの国中、木や石までも血に浸るであろう。」
モーセとアロンは、主の命じられたとおりにした。彼は杖を振り上げて、ファラオとその家臣の前でナイル川の水を打った。川の水はことごとく血に変わり、川の魚は死に、川は悪臭を放ち、エジプト人はナイル川の水を飲めなくなった。こうして、エジプトの国中が血に浸った。ところが、エジプトの魔術師も秘術を用いて同じことを行ったのでファラオの心はかたくなになり、二人の言うことを聞かなかった。主が仰せになったとおりである。ファラオは王宮に引き返し、このことをも心に留めなかった。エジプト人は皆、飲み水を求めて、ナイル川の周りを掘った。ナイルの水が飲めなくなったからである。

出エジプト記7章19節~24節
©日本聖書教会「旧約聖書」
Column

ハピ/HapiThe god of the Nile

古代エジプトにおいて、ハピはナイルを氾濫させ、恵みをもたらす神として信仰されました。あごに髭をはやし、垂れた女性の胸を持つ男性のような姿で描かれます。女性の胸は豊饒性を表すと考えられています。頭上にはパピルスあるいは睡蓮の葉が描かれ、手には供物が高く積み上げられた盆、もしくは水が流れ出る壷を持っています。
毎年発生するナイル川の氾濫は大地に水と肥沃な土壌をもたらすものでした。エジプトの人々は氾濫の期間にハピに食物や装飾品、宝石を供物として捧げました。
「血の災い」は、イスラエルの神(ヤハウェ)が、エジプトの神(ハピ)を打ったといわれています。

〔参考・出典〕
wikipedia