第五の災いエジプトが伝染病に
襲われる
襲われる
Gustave Doré 1866
第五の災い
第五の災いは「疫病の災い」です。エジプト人の家畜に伝染病が広がり、馬、ロバ、ラクダ、牛、羊などが次々と倒れていきました。しかし、イスラエルの家畜は一頭も死にませんでした。イスラエルの神(ヤハウェ)が、イスラエルの家畜とエジプトの家畜とを区別されたからです。
家畜は神聖な動物
牛や羊はエジプト人にとって、神の化身であり、神聖な動物として崇められていました。また、馬やロバ、ラクダは、農業や運搬にも用いられ、経済活動にも極めて重要な役割を果たしていました。
第五の災いにより、エジプト人は、精神面だけでなく、経済的にも大きな打撃を受けました。それでもファラオは、モーセのイスラエル民族解放の要求を認めませんでした。
主はモーセに言われた。「ファラオのもとに行って彼に告げなさい。ヘブライ人の神、主はこう言われた。『わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせよ』と。もしあなたが去らせるのを拒み、なおも彼らをとどめておくならば、見よ、主の手が甚だ恐ろしい疫病を野にいるあなたの家畜、馬、ろば、らくだ、牛、羊に臨ませる。
しかし主は、イスラエルの家畜とエジプトの家畜とを区別される。イスラエルの人々の家畜は一頭たりとも死ぬことはない。主はまた時を定め、明日、この地でこの事を行われる。」
翌日、主はこの事を行われたので、エジプト人の家畜はすべて死んだが、イスラエルの人々の家畜は一頭も死ななかった。ファラオが人を遣わして見させたところ、イスラエルの家畜は一頭といえども死んではいなかった。それでも、ファラオの心は頑迷になり民を去らせなかった。
日本聖書教会「旧約聖書」
アピスApis/Hapis
アピスは古代エジプトの都市メンフィスで信仰された聖なる牛です。エジプトのプタハという神が牛として現れた「神の化身」とされていました。メンフィスの墓地遺跡群の地下には、ミイラにされたアピスの牛を葬った巨大な棺桶がいくつも見つかっています。また、古代エジプトには、ハトホルという雌牛の女神もいます。
第五の災いで家畜を殺したことは、イスラエルの神が、エジプトの雄牛の神「アピス(Apis)」と雌牛の守護神「ハトホル(Hathor)」を打ったことを象徴しているといわれています。
明石清正氏「ロゴス・ミニストリー」