第九の災い暗闇が
エジプトを襲う
エジプトを襲う
Gustave Doré 1832-1883
第九の災い
懲りないファラオに、イスラエルの神は、第九の災い「暗闇の災い」を下した。モーセが手を天に向かって差し伸べると、エジプトの空はどんどん暗くなり、三日間、墨を流したような暗やみにおおわれた。いわゆる「真っ暗闇」であり、目が暗さに慣れてもなお数センチ先も見えない状態であった。しかし、イスラエル人が住んでいるゴシェンの地だけは光が残っていた。
売り言葉に買い言葉
暗闇に耐えられなくなった王ファラオはモーセを呼びつけた。そして、荒野で妻子を連れて行き、犠牲の儀式をやってもいいが、羊と牛の群れは置いて行くように命令した。しかし、モーセは家畜も連れて行かねばならないと言い張った。
するとファラオはかたくなになり「おまえの顔など二度と見たくもない。今度姿を現わしたら死刑だ。」とモーセをどなりつけた。モーセは「私も二度とお目にはかかりたいとは思いません。」と答えた。
主はモーセに言われた。「手を天に向かって差し伸べ、エジプトの地に闇を臨ませ、人がそれを手に感じるほどにしなさい。」モーセが手を天に向かって差し伸べると、三日間エジプト全土に暗闇が臨んだ。人々は、三日間、互いに見ることも、自分のいる場所から立ち上がることもできなかったが、イスラエルの人々が住んでいる所にはどこでも光があった。
ファラオがモーセを呼び寄せて、「行って、主に仕えるがよい。ただし、羊と牛は残しておけ。妻子は連れて行ってもよい」と言うと、モーセは答えた。「いいえ。あなた御自身からも、いけにえと焼き尽くす献げ物をいただいて、我々の神、主にささげたいと思っています。我々の家畜も連れて行き、ひづめ一つ残さないでしょう。我々の神、主に仕えるためにその中から選ばねばなりません。そこに着くまでは、我々自身どれをもって主に仕えるべきか、分からないのですから。」
しかし、主がまたファラオの心をかたくなにされたので、ファラオは彼らを去らせようとはしなかった。
ファラオが、「引き下がれ。二度とわたしの前に姿を見せないよう気をつけよ。今度会ったら、生かしてはおかない」と言うと、モーセは答えた。「よくぞ仰せになりました。二度とお会いしようとは思いません。」
日本聖書教会「旧約聖書」
太陽神ラー/RaThe Sun God
太陽神ラーは、ヘリオポリス(※)では最も重要な神であり、エジプトの王ファラオは、ラーの子とされていた。
太陽の昇り沈みとともにラー自体も変身する。日の出のときはタマオシコガネの姿の「ケプリ」として現れ、日中はハヤブサの姿をして天を舞い、夜は雄羊の姿で夜の船に乗り死の世界を旅する。
暗闇の災いでは、イスラエルの神がエジプトの太陽神「ラー」を打ち、エジプトの神に対して、優位性を示されたといわれている。
※カイロ近郊に存在した古代エジプトの都市
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