聖書と歴史の学習館

第八の災いイナゴの大群が
エジプトを襲う

ブレーム動物事典(第二版)の挿絵
01/02

懲りないファラオ

イスラエルの神は、イスラエル民族を奴隷から解放すべく、モーセを通して、これまで7回にわたりエジプトに災いをもたらしました。そのたびに、エジプトの王ファラオは、モーセのイスラエル民族の解放を認め、災いを収めるようモーセに命令しますが、災いが収まると、頑な(かたくな)になり、約束を反故にしてきました。

家臣たちもあきれた様子でファラオに進言します。「いつまであの男たちは、エジプトに災いをもたらし続けるのでしょう。エジプトが滅びかかっているのが、おわかりにならないんですか。いっそのこと、あいつらを立ち去らせてはどうですか。」

その後、ファラオはモーセとアロンを呼び交渉します。ファラオは、イスラエル人の男のみを連れていくなら、エジプトを去り、イスラエルの神ヤハウェのためのお祭りをすること許可します。しかし、モーセとアロンは、男のみではなく、イスラエル人全員がエジプトを去り、ヤハウェのためのお祭りができるようにしてほしいとファラオに要求します。結局、折り合いがつかず、第8の災い「イナゴの災い」が起こることになります。


02/02

第八の災い

イナゴの災い

The Plague of Locust

モーセが地の上に杖を差し伸ばすと、終日終夜、東風(※)が吹き吹きすさびました。その翌朝、東風に乗っていなごの大群がエジプトに押し寄せてきました。イナゴが地の面をおおい、地は見えなくなるほどでした。

イナゴは雹(ひょう)の災いの後にもわずかに残っていた野の草木をみな食い尽くし、イナゴが去ったあとには、緑色の草木は一本も残らないほど、すさまじい災いでした。エジプト史上最大の被害をもたらしたといわれています。

※東風はアラビア半島から吹いてきたと考えられます。聖書には、東風が作物を干からびさせる乾燥した熱風として記録されています。イナゴは、一度羽を広げたら、風に乗って時速20キロで20時間飛ぶことがあるといわれています(参考・引用:Logos Ministries.org)。

旧約聖書
の写真

 

主はモーセに言われた。「手をエジプトの地に差し伸べ、いなごを呼び寄せなさい。いなごはエジプトの国を襲い、地のあらゆる草、雹の害を免れたすべてのものを食い尽くすであろう。」
モーセがエジプトの地に杖を差し伸べると、主はまる一昼夜、東風を吹かせられた。朝になると、東風がいなごの大群を運んで来た。いなごは、エジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にとどまった。このようにおびただしいいなごの大群は前にも後にもなかった。いなごが地の面をすべて覆ったので、地は暗くなった。いなごは地のあらゆる草、雹の害を免れた木の実をすべて食い尽くしたので、木であれ、野の草であれ、エジプト全土のどこにも緑のものは何一つ残らなかった。

出エジプト記 10章12節~15節
旧約聖書
の写真

 

ファラオは急いでモーセとアロンを呼んで頼んだ。「あなたたちの神、主に対し、またあなたたちに対しても、わたしは過ちを犯した。どうか、もう一度だけ過ちを赦して、あなたたちの神、主に祈願してもらいたい。こんな死に方だけはしないで済むように。」
モーセがファラオのもとを退出して、主に祈願すると、主は風向きを変え、甚だ強い西風とし、いなごを吹き飛ばして、葦の海に追いやられたので、エジプトの領土全体にいなごは一匹も残らなかった。
しかし、主がファラオの心をかたくなにされたので、ファラオはイスラエルの人々を去らせなかった。

出エジプト記 10章16節~20節