聖書と歴史の学習館

第二の災い大量の蛙が上陸

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第二の災い

血の災いで懲りなかったファラオ(エジプト王)に対し、神はエジプトに第二の災いを下します。アロンが杖をとってナイル川の上にかざすと、川から蛙が次々と上がってきました。これを見た王室の魔術師も負けじと、同じように蛙を這い上がらせることに成功し、災いは増長。蛙の群れは、エジプトの地を覆い、家々にどんどん入り込みます。寝室や、かまどの中、こね鉢の中… 国中がカエルづくしになりました。

王宮にも蛙が入り込みました。困り果てたファラオは「蛙を消せば、イスラエルの民を解放し、イスラエルの神に犠牲を捧げることを許可する」とモーセとアロンに約束します。

そこで、モーセが神に祈祷すると、蛙はバタバタと死んでいきました。これにて一件落着と思われました。しかし、エジプトの人々が大量の蛙の死骸を処分しようと、山のように積み上げたので、国中に悪臭が漂ってしまいました。いわば「二次災害/悪臭の災い」が起きてしまいました。

息つく暇ができた頃、再びファラオの心は頑な(かたくな)になりました。そして、モーセとアロンとの約束を、あっさりと破ってしまいます。ファラオはまだ懲りないようです。

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Old Testament

主は更にモーセに言われた。「アロンにこう言いなさい。杖を取って、河川、水路、池の上に手を伸ばし、蛙をエジプトの国に這い上がらせよ。」
アロンがエジプトの水の上に手を差し伸べると、蛙が這い上がってきてエジプトの国を覆った。ところが、魔術師も秘術を用いて同じことをし、蛙をエジプトの国に這い上がらせた。
ファラオはモーセとアロンを呼んで、「主に祈願して、蛙がわたしとわたしの民のもとから退くようにしてもらいたい。そうすれば、民を去らせ、主に犠牲をささげさせよう」と言うと、モーセはファラオに答えた。「あなたのお望みの時を言ってください。いつでもあなたとあなたの家臣と民のために祈願して、蛙をあなたとあなたの家から断ち、ナイル川以外には残らぬようにしましょう。」
ファラオが、「明日」と言うと、モーセは答えた。「あなたの言われるとおりにしましょう。あなたは、我々の神、主のような神がほかにいないことを知るようになります。蛙はあなたとあなたの王宮、家臣や民の間から退いて、ナイル川以外には残らなくなるでしょう。」
モーセとアロンがファラオのもとから出て来ると、モーセはファラオを悩ました蛙のことで主に訴えた。主はモーセの願いどおりにされ、蛙は家からも庭からも畑からも死に絶えた。人々はその死骸を幾山にも積み上げたので、国中に悪臭が満ちた。
ファラオは一息つく暇ができたのを見ると、心を頑迷にして、また二人の言うことを聞き入れなくなった。主が仰せになったとおりである。

出エジプト記 8章1節~11節
日本聖書教会「旧約聖書」
Column

ヘケト HeqeThe goddess of fertility

古代エジプトでは、カエルはその姿から胎児の象徴、多くの卵を産むことから多産の象徴となっていました。そのため、エジプト人たちは、カエルを神聖な動物として崇拝していました。カエルの神を「ヘケト(Heket)」と呼び、かえるの頭を持った女神の姿を描きました。
エジプトに下った第二の災いでは、イスラエルの神ヤハウェが、カエルでエジプトの全土を覆いつくしました。これにより、エジプト人にとって、神聖なカエルを呪いと苦しみの対象に変え、彼らの偶像崇拝の愚かさを示されたといわれています

〔参考・出典〕
wikipedia