第七の災い激しい雹がエジプトを襲う
John Martin 1823
第七の災い
The Plague of Hail(雹の災い)
illustrators of the 1890 Holman Bible
七番目の災いでは、エジプトに激しい雹が襲います。
モーセが杖をとり、天に向かって差し伸べると、雲行きが怪しくなり、稲妻と雷がとどろき、瞬く間に激しい雹が降ってきました。
雹はエジプト全土で野にいるすべてのものを残らず打ちました。エジプトの人々だけでなく、家畜を打ち、野のあらゆる草を打ち、木々を折り、亜麻や大麦など畑の作物も全滅してしまいました。万物がことごとく打ち砕けるほどの激しさでしたが、イスラエルの人々の住むゴシェン地方だけは雹は降りませんでした。
主はモーセに言われた。「あなたの手を天に向かって差し伸べ、エジプト全土に、人にも家畜にも、野のあらゆる草の上にも雹を降らせるがよい。」
モーセが天に向かって杖を差し伸べると、主は雷と雹を下され、稲妻が大地に向かって走った。主はエジプトの地に雹を降らせられた。雹が降り、その間を絶え間なく稲妻が走った。それは甚だ激しく、このような雹が全土に降ったことは、エジプトの国始まって以来かつてなかったほどであった。
日本聖書教会「旧約聖書」
これにはファラオもすっかり参ってしまったようです。モーセとアロンを呼び寄せて、イスラエル人を解放するので、雹がやむように、神に頼んでとりなすように言いました。ファラオは自らの誤りを認めたようです。「今度ばかりはわたしが間違っていた。正しいのは主であり、悪いのはわたしとわたしの民(エジプト人)である。主に祈願してくれ。恐ろしい雷と雹はもうたくさんだ。あなたたちを去らせよう。これ以上ここにとどまることはない。」と言いました。
モーセはファラオの前から退出し、町を出ると神に向かって両手を伸べ広げるました。すると、雹も雷はやみ、大地に注ぐ雨もやみました。しかし、これに安心したファラオや家臣たちは、再び心がかたくなになり、イスラエルの人々をエジプトから解放することを許可しませんでした。結局、約束はまた守られませんでした。
ヌト/NutEgyptian Sky Goddess
ヌトは古代エジプト神話の「天空の神」です。夫のゲブと抱き合っている所に、忽然と大気の神シューが現れ、無理やり大気の力で引き離されてしまいます。このため、天(ヌト)と地(ゲブ)とが分かれたとされています。
絵図では、指先と足先とで大地(ゲブ)にふれ、弓なりになった体をシュー(大気)が支えています。天(ヌト)の腹部に輝く星は「天の川」です。
雹の災いでは、イスラエルの神が、天空の神「ヌト(Nut)」と大気の神「シュー(Shu)」、エジプトの農業の神々をを打ち、イスラエルの神の優位性を示されたといわれています。